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Be-Chu' s Perspective

 

わかりやすい例として、観光サイトを取り上げたいと思います

自治体ホームページ、今後のあり方・作り方(4)~観光サイトを事例に~これまで、自治体ホームページの抱える問題に触れて、次のようなお話をしてきました。

●CMS が解決できない最も重要なこと。
●アクセシビリティ、ユーザビリティをゴールにしない。
●自治体サイトが外を向いていない。


    そして、前回の「自治体ホームページ、今後のあり方・作り方3」では、これまでの「情報公開」や「情報発信」という視点でなはく、「戦略的活用」や「マーケティング」という視点でサイトをとらえ直す必要があることをお話ししました。

    ありがたいことに、これまでのブログ記事に対して、何名の方からご感想をいただきました。ブログを書いてこのようにご感想をいただけるというのは、ブログを書いている方はお分かりかと思いますが、大変うれしいですし、大変勉強になります。ありがとうございます。

    今回、その「戦略的活用」の具体的な話をしたいと思うのですが、わかりやすい例として、観光サイトを取り上げたいと思います。

     

     

    何のためのサイトなのかを、もう一度考える

    サイトを運営する上で最も重要なのは、「サイトを利用して、どんなアクションをしてほしいのか」をしっかりと理解することです。オンライショップであれば商品を購入してもらうことですし、会社のサイトであれば商品やサービスを購入してもらうことです。ひと口に自治体サイトと言っても、市民向け情報のサイトから観光サイト、図書館サイトまで幅広い種類がありますが、観光サイトは「この地に来てもらう」ということに他なりません。間違ってはいけないのは、この地のことを「知ってもらう」ことではない、ということ。もちろん、来てもらうためには知ってもらうことがまずは重要ですが、実際に足を運んで来てもらうことこそが観光であり、そこを目的にしないと意味がありません。

    私がそのような言い方をするのは、「知ってもらう」をゴールにしてしまっているがために、多くの自治体の観光サイトが「もったいない!」状態であるためです。目的を「来てもらう」という実際のアクションにすることで、単にサイトに情報を掲載するだけでなく、来たくなるような情報や仕組みを作るところまで意識が回るようになります。
    何度も書いていますが、特に地方にとって、観光客として訪れてもらうこと、移住してもらうこと、新規就農してもらうことは、自治体の生き残りをかけた重要な糸口になりますし、全国の自治体で同じことを考えています。その争奪戦のためにも、運営側が意識をしっかり持っておく必要があるのです。

     

     

    まずは、観光パンフレットのオンライン版から抜け出す。

    現在の観光サイトの大半は、観光パンフレットのオンライン版です。観光パンフレットのデジタルデータをもとにして、サイトで見られるように組み直したものがほとんど。

    これは、観光パンフレットはデザイン会社が企画・取材・撮影・編集・印刷までを一括で引き受けて、印刷物を納品して終わり、サイト制作はその印刷物のデータを利用して、制作会社がサイトを制作するという形で作られたためです。

    すでに皆さんご存知なように、サイトに求められる情報はパンフレットに求められる情報とは異なります。印刷物は写真でいいですが、サイトではできれば動画でも紹介したい。印刷物では誌面の関係で数行しか紹介できないですが、サイトではもっともっと詳しく紹介することができます。つまり、パンレット用に取材したものだけを土台にしていたのでは、サイトとしては不十分なのです。ですから、まずは、観光パンフレットの焼き直しから抜け出すことを目標にしてはいかがでしょう。

    そのためには、サイトとして必要なのものは何かを考えて、サイト用に企画・取材・撮影するという予算を確保する、もしくは、パンフレットの企画・取材・撮影に合わせて、サイトの用の撮影(例えば動画の撮影など)も一緒にできるようにするといった体制が必要になります。

     

     

    見た目のきれいな「観光図鑑」ではもったない。

    プロジェクトがスタートすると、サイトの企画と設計をすることになります。これを内部のスタッフがやるのか外部に委託するのか、企画・設計と制作を一緒に発注するのか、個別に発注するのか、ということを選択することになります。

    どの選択をするにしても、サイトは観光パンフレットの焼き直しではなく、観光に関するあらゆる情報が発信でき、興味をもってくださった方が関連情報が取得でき、コミュニケーションが取れるようなものにするのが理想です。観光施設図鑑からの卒業です。

    例えば、観光施設や宿の紹介。これまでであれば、施設の写真とともに概要と連絡先を掲載するだけの形がほとんどでしたが、今やほとんどの観光施設や宿が独自のホームページやブログ、時にはソーシャルメディアによる情報発信をしています。ですから概要だけではなく、ブログの新着情報も掲載したり、近くの観光スポットの紹介と連動させて掲載してもいいと思います。

    特に重要なのは、複数スポットにまたがる観光ルートの紹介。個別のスポットは、各施設が自身のサイトでPRできますが、それらを複数つなげて紹介できるのは、自治体や観光連盟だからこそできるもの。時々「モデルコース」と称してスポット名や地図を紹介されているものがありますが、どうも寂しいものがほとんど。
    「何となく観光スポットをつなげてみました…」ではなく、特定のテーマに興味を持つ全国の方が魅力を感じるようなコースを設定し、その方々に「ここではこんな驚きがあるんですよ!」と魅力を紹介できるようなものにする必要があります。当然、●●コースと地図を掲載しているだけではダメ。そのコースを巡った方のブログがあるのでしたら、積極的に紹介したいですよね。

    同じように重要なのが、自然や絶景スポット。山への登山やトレッキングなども含まれますね。全国のどの自治体でも、きっと観光パンフレットには「豊かな自然」と記載があって、写真を掲載していますが、「こんなスポットがあります」という以上の情報はほとんど発信されていません。今、そこはどうなのか、行った人の感想はどうなのか、最高の状態を見るにはどうすればいいか、誰に問い合わせればいいのか、などなど…。「今、その絶景スポットで、こんな写真を撮影した人がいます♪」って公開される仕組みがあっても面白いと思います。

    図鑑のように観光情報を掲載しておいて問い合わせが来たら対応するのではなく、むしろ、問い合わせが来るようにサイトのコンテンツを作るということです。そのためには、どんな切り口で誰にどう情報を伝えるのか…というところを練り直す必要があるかと思います。その時必要なのは、「地元の観光資源を多角的に見る」「ネットの活用」という両方の視点ですね。
    有名な観光スポットであれば別ですが、全国のほとんどのスポットについては、情報がほとんどまとまっていません。「ここ良かったよ!」という声が時々ネット上を流れたとしても、それは友人以外の誰にも見られずに消え去って行ってしまっているのが実情です。「観光資源の発掘」ということはよく新聞やニュースで取り上げられますが、既存の観光資源についてすらちゃんとネットで伝えられていないのではないか、というのが私の考えです。もったいない!

     

     

    継続的な運用体制

    最後にもう一つ重要なのことを。
    観光パンフレットでは、印刷物が納品されて終わりです。あとは、できるだけ多く配布するだけです。次年度は次年度で、また予算を取り、企画から制作まで同じプロジェクトを繰り返せばOKです。

    しかしサイトの場合はそうはいきません。継続的に日々運用する必要があります。
    しかも「メンテナンスをする」「トラブルがあったら対応する」という受け身の対応ではなく、常に情報を発信するという能動的な対応が求められます。でなければ、数か月もすると死んだサイトになってしまいます。パンフレットは印刷されれば終わりですが、サイトは公開してからがスタートです。

    職員がやるにせよ、外部に委託するにせよ、その体制を整えておく必要があります。

     

    次回をお楽しみに♪

     


    ■事例・実績から

    講演・セミナー(自治体向け)

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    自治体サイトの運営・課題についてお話しさせていただきました。

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    観光でのネット活用についてお話しさせていただきました。

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